海に沈む夕日に向かって走り続けた。
投資を始めた頃のワクワクした気持ちはとうの昔に消え失せ、いまはただ終わりのない退屈だけが波間を漂っている。
米国株投資を初めて十有余年…。この間、何が変わった?目的は達せられたか?イヴァンカ・トランプ級のギャルをこの腕に抱いたか?
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冬の寒さに震えながらサツマイモで飢えを凌いできた去年までの相場と違い、今年の投資パフォーマンスは良好だ。コストコのUSプライムビーフを食いまくり、あるいは生命維持装置「白くまくん」を手に入れたことにより、QOLは劇的に改善している。
だがしかし、投資を始めたそもそもの動機は、そのような小さな幸せを得ることではなかったはずだ。その目的とは、「爆益の彼方」という究極の高みに到達することであった。
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ソニックトレード団のKさんによれば、ソニックの定義は「一瞬で莫大な富を手に入れること」であり、そのドリームを実現するほぼ唯一の道、それが株式投資だったのである。
生きながらにして仏になること、すなわち「即身成仏」。
投資を実践するなかでソニックに出会ったということは、ある種、密教への飛躍であったのかもしれぬ。
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その道はいまだ困難を極めている。
揺らめく陽炎の向こう側に垣間見えるものの、すぐに消えてしまう蜃気楼。あるいは虹をつかむが如く。