オナ禁…。
それはあまりにも険しい道であった。
街行けば珍宝が原子炉のごとく発熱する。
ちらりと牧野真莉愛の写真を見かけただけで、おのれのなかの野性が目覚め、どうしようもなくなって裸足で草原を駆け抜け、そして、沈む夕日に向かって拳を突き上げて叫んだ。
砂浜に崩れ落ち、砂をつかんで揉みしだき、唇を嚙み締めて震えながら、しこりたいという欲望と闘う。
…
【Day 5】
オナ禁5日目。
とうとう全身の神経が我慢の限界に達して脳が爆発し、気が付けば、GE坊やは永遠の無のなかで泣きながらボコボコにしこっていたのである。
射精した瞬間、ビッグバンが起こり、宇宙が始まった。
…
それはいい。
数学者にしてクオンツ投資家のジム・シモンズが死んだ。
チャーリー・マンガーも死んだ。
GE坊やが尊師と崇めた両氏は、巨額のカネを稼ぎ、使い切ることもなく飄然とあの世へ旅立ったのである。
…
生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く
死に死に死に死んで死の終わりに冥し
人はなぜ生きるのであろうか。
その答えを探して、GE坊やは今日もしこってしこってしこり抜く。