蛇に唆されて禁断の木の実【BTI】を食べたGE坊やは、神の怒りに触れ、楽園から追放された。
…
渡船に乗って運河を渡り、崩れかけの家屋が並ぶ路地に入る。
しょんべん臭い道には点々とホームレスが横たわっている。傍らには「覚せい剤絶対アカン」と書かれた看板。スーパー玉出。
煙草臭い商店街を抜けて廃屋のような店に入りホルモンうどんを注文する。湯に潜らせたうどんに、大鍋で煮たホルモンと煮汁をぶっかけたもの。中身はほとんど血生臭い肺臓である。アルミの器に山盛りにされた唐辛子を掬ってかける。
しかしこのご時世、ここまで臭いホルモンがあるのかね。
致し方あるまい。既に楽園から追放された身である。周りを見ると、足を引き摺った老人や、ヤーさんの崩れしかいない。寒風吹きすさぶ。
TSLAを買っていれば王侯貴族。AAPLやAMZNでも上流階級だろう。インデックスだって何だっていい。ただ、タバコ株でさえなければ。
BTIを買うと、こんなことになってしまうのか…。呆然としながら相変わらず煙草としょんべんのやり切れない臭いに満ちた街を行く。オッサンらが地べたに座り込んで酒を飲みながら将棋を指している。「畜生、こいつらBTIホルダーよりいい生活してやがる」そう吐き捨て、拳を握り締める。
…
ドヤに戻って眠る。寒い。あまりにも寒い。
隣の部屋からは喚き声。唸り声。しょっちゅう救急車がやって来て、生きているのか死んでいるのか良く分からない肉体を運び出していく。ボヤ騒ぎも稀ではない。耳にするのは「アホ、ボケ」「何見とんねん」「殺すぞ」といった類の言葉ばかり。
全部BTIが悪い。
0 件のコメント:
コメントを投稿