2020年12月31日木曜日

原罪 PART2



ドヤの寒い部屋の中で布団にくるまって震えているとやり切れない気分になるので、外に出る。


しょんべんや吐瀉物、あるいは明らかに人間のものと思われる大便が点々と落ちている裏路地を抜け、薄暗い商店街に入る。「何じゃこらあああああああ!」と、酒臭い老人が叫ぶ。どいつもこいつも、BTIホルダーのような濁った眼をしている。


BTIさえ買わなければ、GE坊やだって今頃ギャル抱きまくりモテまくりウハウハ酒池肉林生活を送っていたはずだ。そのようなことを考えながら歩いていると、足が自然と新地の方向に向かった。

置屋を覗き込んで、ピンク色のネオンに照らされたギャルを物色する。

「お兄さーん」「遊んでってー」などと声を掛けられるが、もとより食うも食わずで、寄っていくカネなどない。


墓場の横の細道を台地の方に登っていくと、黒塗りの高級車からドス黒い顔をしたヤーさんが降りてきて、電柱の傍らにうずくまっているホームレスに白いパケを渡すのが見えた。


西に沈む夕日を拝むため、高台にある寺に向かう。

日想観を行うのである。


人ごみに紛れて落日に手を合わせていると、GE坊やの眼前に極楽浄土が現れた。

実はGE坊やはタバコ株だけではなく、インデックスファンドにも投資をしています。証券口座は4つ持っていて、タバコ株はそのうちのひとつで運用しているにすぎません。ハイテク株や新興国株、それからビットコインなども持っています。詳細は有料コンテンツで公開します。グッドラック。


オレンジ色に照らされた街を見下ろしながら、GE坊やはバフェット太郎的な幸福感に包まれたのである。


...

だが、日が落ち辺りが急激に暗くなると、現実がGE坊やの背筋を氷のように貫いた。タバコ株に集中投資をして含み損であるという現実。クソはクソのまま、いつまでもクソであり続けるという現実。

 

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